ISSUETHINGS "TYPE03"


先日、ISSUETHINGSから新作が届きました。

毎シーズンコレクションテーマは設けてはいないものの、意図的に何かを狙った実験的なスタイルで新しい作品を生み続けているISSUETHINGS

その中で生まれた新しい作品はなぜこんな形なんだろう、なぜこんな加工なんだろうと考えてしまうものが多いのだが、それは自分たちが考えているのではなく考えさせられているのではないか。

知恵の輪のように見た瞬間に脳が反応して読解したくなるような作品。

今回はどんな作品でどんな加工が施されていて何を狙っているのか考えたいと思う。


Brand / ISSUETHINGS 
Model / Type03 
Price / ¥62,000+Tax 
Size / One Size Fit All 
Color / Washed Black 
Material / Polyester 100% Liner Cotton100%

今回の作品は数シーズン続いている加工の施し方で変化を持たせた作品を対比させることで、その変化に気付くという系譜の最終段階。

その中でも個人的に1番変化が見られているなと思ったType3のハードウォッシュをオーダー。

前にブログでも書きましたが、この風合いがパッと見で格好良いと思った。今から見た目(デザイン)とは対極にある裏側(加工)を話すわけだが、ポリエステルのテカリと影が美しく、服における大事な見た目といった部分も納得できる作品です。


加工による変化を対比させてきたコレクションでしたが今回は生地によって加工を施した時の変化を対比させています。

ポリエステルにコットンの裏地が付いているのですが、それをまずは60度のお湯で洗うことで糊を落とします。その後、柔軟加工を施しさらにタンブラーを掛けることでパッカリングが起こります。

実はこれ前のシーズンでも同じことをやっていたのですが、お湯の温度でパッカリングの出方も違うようで前回は30度で洗っていたものに比べて60度の方が糊が落ち生地も柔らかくなってパッカリングが強く出たようです。

しかも縫う人によって同じステッチ幅でもパッカリングの出方が変わってしまうようで縫い手を指定してるのも面白い。マジでパッカリングを極めようとしているのがわかる。


そしてその加工を施すことで生地が柔らかくもなりつつも重みでしっかりと落ちるようなり、肩の落ち方が綺麗になったと言っていました。

これは私も思ったことで、着てみると肩と後ろ身頃がストンと下に落ちるのが分かる。まるでオーバーサイズのカーディガンを着ているようなニットに近い落ち方を表現している。

画像だけではポリエステルのシャカついた見た目で軽そうに見えるのだが、目の詰まったコットンの裏地があるので重みがありウィンドブレーカーのような軽い感じは皆無。

この重量があるからかすごく土臭くみえる。


ちなみにフードは脱着可能。

そして洗濯も可能。


先シーズンのルックにジャケットを裏返して着ているルックがあって、それを見た人が裏返して着るようになったのか「裏でも着れますか」って質問がくるんですけど、確認したらルックでアクセントを付けるために裏返しただけで基本リバーシブルとかそういうことでは無いみたい。

でも今回は裏でも良くね?と思うほどカッコイイ・・・

ブランドタグ、洗濯表示タグはあるものの引きちぎれば良いし洗いで目の詰まったコットンの色合いが素晴らしい。


裂けたコットンと洗いのシワが堪らなく服好きに響きそう。

しかも裾のドローコードを絞ることでより膨らみを表現できて立体感とともに陰影ができる。1つの作品として色んな表情をしてくれてこちらとしてもとても面白い。


なぜデザイナーの渡辺さんが「変化」でコレクションを見せているのかというと、それが服にしかできないことだから。

他のコレクションテーマを掲げコレクションを作っても、他の方法で表現できるならそれで良くない?と思っていて渡辺さんは服でしか表現できないことを根底に置きコレクションを作っていると話していました。

そしてコレクションの印象を最初から方向付けさせずに、自由に感じてもらうためにあえてルックを遅らせて公開しているんだって。

その人によっての受け取り方がどう違うのかというのも実験的に行っているのと、そこで受け取り手が考えることがブランドネームの「ISSUETHINGS」という問題提起という意味合いと重なる。だから冒頭に言ったようにこちらが考えているのではなく、考えさせられているんです。


それと渡辺さんに勧められてた書籍をまた読み始めた。


その中の墨子の教えで「節葬」と言う思想があり、それが建築家のミースファンデルローエの「Less Is More」と似ており、何が似ているかは言いませんが結局は何かをデザインしたり、生み出したりする生産性のあることは表現の仕方は違えどその人の哲学なんだと思った。


だから今回の作品を見て感じたことや自分なりに咀嚼したことがISSUETHINGSの哲学なんじゃないのかな。


私の哲学は「感じるな、買え」の精神なんでブログなんて読んでないで問い合わせしてくれよ、と。


ご来店、問い合わせお待ちしております。


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