家族の風景 7:56

 


Coat / EEL Products / Reading Coat
Knit / masao shimizu / Round Stop Pullover
Pants / ISSUETHINGS / Benjamin Button Pants
Shoes / Dimissianos&Miller / Side Gore Slip-On

こういった人の想いが詰まった作品を紹介する時は作品の細かな説明も大事だと思いますがそれよりもどんな場面で、どんな人と、どんな音楽とって言うその服を着ている「時間」が私は大切かなと思います。

EELのデザイナー高橋さんと森岡書店の森岡さんがどんな想いで、どんな着方で楽しんでもらいたいと思ってこの作品を作ったんだろう。

そしてこの服を着ているそこにはどんな時間があるのだろうか。


実は今朝起きたら1本の電話が入っていた。EELの営業の澁谷さんからだった。

7時56分と言う時間を昼前に確認した私は間違い電話だろうと確信しそのまま身支度をしてお店に向かうことに。

今日はEELの新作の中でも一際人気の出そうなReading Coatの紹介をしよう、そしてどんなシチュエーションで撮影するのが良いんだろうか。そんなことを考えて家から3分のお店に到着。

コーヒーを飲みつつReading Coatの撮影に入る。しかし陽が強く上手く写らない。苛立ちと焦りの中ふと朝入っていた電話の留守電を聞くことにした。

「お預かりしているメッセージが一件あります。7時56分・・・」


間違い電話だろうと分かっていた私は雑音から始まる留守電に何の違和感も覚えず聞き始めた。

しかしそこには私の思いもしなかった世界が広がっていた。

遠く離れた東京の地、EEL 営業の澁谷さんの家のテーブルの上なのだろうか。聞こえてくるのはきっと澁谷さんの娘さんたちだろう。

「パパー、パパー」「ねぇー抱っこしてー」

「えーでもパパはぁ〜」

私に話しかけてくる声など一切なく延々と続く親と子供のやりとり。

なぜだろうか、私はその留守電を切ることが出来なかった。


向こうは電話が掛かっていることにすら気付いていないのだから留守電も長尺で入っている。しかし切ることなく聞いていた私は既にReading Coatを上手く撮れない苛立ちや焦りを忘れて長い留守電に聞き入っていた。

謂わばお互いに商売相手として成り立っている関係だがEELの人達からはいつもそれ以上のものを感じていた。そして今回のこの留守電も嫌な思いは一切しなかった。

何故ならば電話の向こうには幸せな空間が広がっていたからである。

無論、私の心も幸せで満ちており1つのブランドからとても大きなものを受け取った気がした。

そしてその電話の向こう側の澁谷さんは、Reading Coatを着ていたかもしれない。

*サイズ感なんかは画像から読み取ってください

Mail acacia.shizuoka@gmail.com
住所 静岡県静岡市葵区人宿町2丁目5-22 2F
時間 13時 - 19時