Front Of The Gates Of Hell

 


休日のある日、日差しは柔らかく風は穏やか。しかし何故か心が騒がしいようなそんな日だった。


新しい服と靴を身にまとい外に出てみる。そこには最高の空気が広がっていて全てが自由だと思わせてくれる時間と空間。


背中を押されるように歩みを進める。


知らない道に迷い込み知らない場所にたどり着く。そこは無機質で透明でどこか懐かしい場所だった。



恐怖感はなく好奇心の方が強くなる。


歩みは早くなり柔らかく感じた日差しを強く感じる。


この時はまだ感じていなかったが徐々に増していく緊張感。



室内に入るとより澄み渡った空気が広がっていた。


差し込む光や様々な色合いが僕を日常から切り離しまた別の世界へと誘ってくれる。


しかし我に返りそれは幼い頃にはいつも抱いていた感情だと分かる。そう、幼い頃は全てのものが新しく毎日が非現実的な日々だった。


繰り返す日常なんてあの頃はなかった。



ふと足を止めてみる。そして考える。


ここまで何を求めて歩み続けて来たのかもわからず、自分の思う目的地には何もないのかも知れない。恐怖心が一気に増す。


自分で歩んで来たんじゃない、強制的に歩かされて来たんだ。


自分を見失いないながらもまた歩を進め始める。



様々な人に会い、出会った人と時間を過ごし別れを告げる。


そうやって自分の人生と自分自身を形成して来た。


そしてこれからも色んな人と出会って自分の知らない場所や時間を経験するのだろう。


振り返って1つのことに気付く。


今まで歩いて来たのは強制的なんかではなく、周りの人に支えてもらい歩いて来たんだと。


背中を押してくれたのは今まで出会った人達だったんだと。


そして辿り着く。



la porte de l'enfer - rodin
(地獄の門 - オーギュストロダン作)

ダンテアリギエーリの神曲には
「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」
と書かれている。

しかし主人公ダンテはその後、煉獄にて淑女ベアトリーチェと出会い天国に案内される。

そしてこの淑女ベアトリーチェは作者ダンテアリギエーリ本人が幼い頃に好きになった人物だと記されている。

彼もまた出会った人によって背中を押され歩かされていたのではないか。


Stole / Denis Colomb / Nubby Stole
Knit / masao shimizu / Round Neck Knit
Pants / ISSUETHINGS / Benjamin Button Pants
Shoes / Dimissianos&Miller / Side Gore Slip-On
Bag / Tochca / Aimer Porch


この門を潜り二度と戻ってこれなくとも歩みを続けるために潜らなければならない。

今はそう感じる。

辛く行き着いた先に何も無かったとしても。

前に進むために僕らの歩みは止まらない。

Front Of The Gates Of Hell.




*明日より店頭販売&通販対応致します。デザイナー渡辺氏とお待ちしております。
*撮影時だけマスク外して無呼吸です


Mail acacia.shizuoka@gmail.com

住所 静岡県静岡市葵区人宿町2丁目5-22 2F
時間 13時 - 19時