BEAUGAN "Safari Shirt"


今日はBEAUGAN 2022 S/Sの最後の作品を紹介しようと思います。

今期のBEAUGANは素晴らしいと何度も言っていますが、それは着ていて更に強く思いました。特に日差しが強くジリジリとした直射日光を浴びれば浴びるほど生地のハイテクさに気付かされる。

しかしその生地は伝統工芸のようなローテクなことだったりするので一度立ち止まってファッションというものを考えさせられる。

正直BEAUGANの作品は「ファッション」というよりも、その昔に生活を快適に過ごしていくために身にまとっていた衣類というモノのに近い気がする。

故にアルチザンの本質的なところを捉えている気がするんだけど、それはまたヴィンテージとアルチザンって話でYouTubeにあげようと思います。

さて今回の作品です。


Brand  / BEAUGAN 
Model / Safari Shirt 
Price / ¥61,000+Tax
Size / 1 / 2 
Material / Washi74% Linen26%
 Color / Shibori Petals

まず目につく絞りの染め。ここから説明していこうと思います。

これは有松絞りという愛知の有松という地域特有の絞り染で1975年に日本の伝統工芸として認定。発祥は1860年に有松の町が誕生しているのでそこから今に至るまで受け継がれてきています。

私もパリで有松絞りを生業にしている家系の末裔でブランドをやっているSuzusanの村瀬さんにお会いしたことがあって、「伝統を続けるために新たな発信をしている」とビッグメゾンとの共同制作を行なっていました。

そこで感じたのが最初は見た目も古めかしくて民芸品的なノリかと思っていたんですけどそうじゃなくて、有松絞りという歴史の中でその時代の肌感に合わせて変化し順応してきたという部分。

だから最初に言ったような「ローテクでありハイテク」ということなんだと思います。

だからこそDiorやYohjiのような世界的に活躍してるブランドが新鮮に感じ取り入れコラボレーションを果たしたんじゃないですかね。

それくらいこの有松絞りというのものは世界的に評価されています。


その有松絞りの中で雪のような雪花絞りを今回は施しています。

全て1点ずつ有松の職人が絞り染を施していて、柄の部分は白い和紙を黒で絞り染した後に黄土色をかけることで防染していた部分に色が入り雪花柄になるようです。

他の部分も黒とはいえ実際は濃いめのチャコールグレーのような色合い。それが雪花絞りの黄土色と凄く良い配色になっています。

ちなみに絞りの種類はもっと色々あるようで調べたら幾何学のような模様が多くてメッチャモード。画像検索したら幾何学に鶴が飛んでる着物なんかもあったりしてイケてた。

KEI SHIGENAGAの作品を見ていても似たようなことを思うことがあって、日本の伝統の中に潜む美って洗練されていてモードですよね。それって他の国には決して存在していない部分で唯一無二。

衣類として生活に寄り添いつつも美しい芸術を生み出していたんだなと思いますね。


生地は和紙74% リネン26%のデザイナー・クリスが好きな生地。

というのも日本は高温多湿でどうしても吸水速乾に優れていて肌にまとわり付かない生地でないと生活していけないから。でも考えてみれば日本家屋に障子の戸があるのは環境を快適にするためって考えると衣類に使用するのも至極当たり前ですよね。

こちらは和紙100%ではなくリネンも入っているため、和紙100%弾力があってモチっとした感触なのですがもっとリネン特有の硬さを感じます。ただそれでいて軽く乾いた表面をしていてドライタッチ。

ジャケットの時もブランド側から「夏は着ていた方がむしろ涼しい」って言われて「???」って感じだったんですけど着てたら分かりました。

和紙って生地自体が凄く冷えるんですね。だから上がった体温を外に逃がしてくれる。

なので常に扇風機にあたってるような感覚。これが一番分かりやすい表現だと思います。本当に涼しいです。


デザインベースはサファリシャツなので両胸にポケット。裾はフラットになっていてボタンには本水牛ボタン。

染料でボタンが擦れたような見た目になっていたり、黄土色になっていたりするのも面白く1点1点違いがあります。

何より伝統工芸っぽくない、このモードで重たい佇まいが良い。


着用は同じくBEAUGANのモンキーに和紙Tee

本当はインナーは着ずに素肌が良かった。その方が渋くないですかね。

でも個人的にサファリシャツの丈感とパンツのシルエットが完璧だと思っていて凄くバランス良く感じます。

一応インナーを着ずに素肌にオンした時の想定がこちら。


インナー見えちゃってるんですけど、こんな感じで着てたらゲキ渋だと思います。

やはり雪花絞りが変に民芸品ぽくないのが良くて、いい具合にモードな匂いを漂わせてるんですよね。しかもダークでナヨってる感じではなくて、重くて力強い。

ボロボロで分かりやすくアルチザンとかでは決してないのですが、ちょっとイカつく感じるくらい迫力がある。

その部分は今期のBEAUGANの作品全てに言えるんですけど、そこが本当に良いです。


そういえば先週末にお客さん3人くらいから「この柄ド◎スっぽい」って言われました。

確かにと思ったのと同時に、多分そうだったらドリスが意識してそう言った絞り染にしてる可能性の方が高いかなと。何故ならそう言ったビッグメゾンは必ず様々な古き良き手法を使って今のファッションを作っていますからね。

ただBEAUGANに関してはそれを1シーズンだけとかトレンドで取り入れているわけではないのであまりファッションの匂いがしないのかも。

そのWithout Fashionな感じがヴィンテージでいてアルチザンだと感じる要素かも知れません。

是非服好きに届いてもらいたい作品です。ご来店お問い合わせお待ちしております。


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