Khéiki "Washable Wool T-Shirts For acacia"


昨年、暦は夏。

灼熱のなか、私はTシャツと言う物を死ぬほど着たせいで飽きに飽きてしまい「夏にTシャツ着たくない」という重い病を患ってしまいました。

そこでKhéikiのオーダーの際に「ウォッシャブルウールありますか?」「真夏もイケるヤツください」と別注企画を投げかけました。

そして生まれたのが今回の作品です。既に店頭で多くの方に見てもらっていますが絶賛の嵐。ただ暖かくなった時期に紹介したかったので少しの間寝かせていました。

今回満を持してご紹介します。

*Navy
Brand  / Khéiki
Model / Washable Wool T-Shirts For acacia
Price / ¥32,000+Tax  
Size / 2 / 3 
Color / Navy / Beige / Black

そもそもウールという素材が近年では下着や肌に触れる素材の中で、吸水速乾や透湿性など加味した上で一番優れた素材ということでずっと気にしていました。

しかも言ってしまえばTシャツだって編み物なんでニットなわけですよ。それをどうにか素材変えてTシャツにはないデキる見た目に仕上げられないかなと。

そこでニットブランドとしてウール製品に強いKhéikiにウォッシャブルウールで真夏、というか24時間1年中着られる作品を作ってもらおうと思ったのが始まり。

だから「真夏に着れるウール」「ウールなのに洗濯に関してストレスフリー」くらいの作品ができればと思っていたんですけど、作品が届き紹介する今日まで着続けてそれ以上の特筆すべき箇所に気づきました。


まず使っている素材はもちろんウール。

しかし強撚(きょうねん)ウールなのでフワフワで暖かなウールではなくリネンのようなシャカついていて、画像のように毛羽立ちもほぼないドライな表面をしています。

この時点で感覚としてはロンTです。

ただちょっと見た目がセンスあって上品なだけです。


これは1ヶ月自ら着用気付いた点なのですが、まず静電気が全く起こらない。

当店はカーペットということもあり特にこの時期は帯電しやすいです。ニットを着るとすぐに電気を帯びてバチつく。

しかしこの作品は着ているときにしっかりと空気を孕んだ状態になる。それは何かというとインナーに静電気でくっついたりせずに着れているってことなんですね。

コレにはホント驚きました。ニットで薄手のものは特にインナーとの静電気で身体のラインが分かるくらいピタッとするんですけど、それが一切ないです。

これ調べたんですけど、多分強撚のウールだからです。触れるもの同士の片方の電気が多かったりすると静電気が起こるんですけど、下敷き擦ると帯電するのは下敷きが平面で物との摩擦力が大きいからであってこの強く撚った糸だとまず摩擦が起きづらくそもそも電気が発生しないんだと思います。

コレだけで全然着心地が違い自宅に帰ってからもずっと着ている。静電気が起きないのもそうですし摩擦にも強いので。なんならイライラした時に掃除をするようにしているんですけどトイレを掃除した時も着ていた。ほんとストレスフリー。


そして秋冬であったモックネックニットのボーダーデザインを今回の作品にも落とし込んでもらいました。

これはただのデザインではなくて、ニットとニットを編んで繋げるリンキングという手法。なのでサイドシームはリンキングで編んでいてショルダーラインもテープで繋げているのでほぼ編みで構成されています。

北川さん自身がインタビュいーでも言っていたように1年中ニットしか着ない人ような人間なので、作品における製造上に「縫い」というのは極力減らしたいようです。


そしてこれはオーダーイベントの際に北川さんから聞いて初めて知って驚いたんですけど、この背面のヨークやタックは全て編みによる再現。

どういうことか分かりづらいと思いますが、ここも縫いではなく編みで構成されていて通常のヨークは切り替えてあることでシームが走って視覚的にパーツとして認識できるようになるのですが、コレは編みを表から裏に切り替えることで膨らみが出るのを利用してヨークに見せている仕掛けです。

つまり膨らんでいるヨークの部分はニットの裏側でそこから表に編み方を変えることでヨークから下の部分が編まれています。

そしてタック。こちらも切り替えていないということで当たり前ですが通常は折り畳んだ部分を別のパーツに挟むことでタックになりますが編みによってタックのように見せているだけ。

実際折りたたんである形状になってますが、そもそもヨークで切り替えてないので挟み込んでいないという謎仕様。

文面じゃ分からないと思いますし、実際見ても分からない・・・

北川さん曰く「こういったシンプルな作品ほど仕掛けが多い」と言っていました。

*Beige

カラー展開は3色。

全て杢糸を使っていて先程のネイビーはネイビー×ブラック。こちらのベージュはブラウン×ベージュ。ブラックがチャコール×ブラックの糸を使ってます。

そのためこの画像でも分かりますが全部メランジのような表面になっています。

特にこのベージュとブラックは分かりやすくメランジです。


そしてサイドのリンキング部分も色によって多少違います。

ネイビーとブラックは生成りの糸でリンキングされていてベージュのみブラウンの糸でリンキングされています。

*Black

あと洗いに関して。

まずウォッシャブルウールが他のウールと何が違うのか、何故洗えるのかという事ですが基本他のウールと何も変わりません。

というかウールって実は全て洗えます。そう、全部ウォッシャブルウール。

でもウールによって洗濯での縮みが大きいものが大半だから「ウール=洗えない」って認識になってしまっているんですね。

ただこの作品においてはその縮みが少なく洗っても問題ないというウールを採用しています。洗濯した私から言うと厳密には洗って若干の縮みはあるものの干しとくと自重で伸びて元のサイズに戻るって感じです。

なので平干しではなくハンガーで干してもらってOKなのですが、薄いハンガーだけは注意してもらいたいです。自重で伸びるので肩にその重さが全て掛かるわけで薄いハンガーだと一部分だけ伸びてしまします。厚みのあるハンガーで重さを分散してもらいたいです。


暖かくなった今、春物と合わせるのもそうですし真夏に1枚でリネンパンツやショーツにサンダルで合わせて使うのも乙。

暑くなればなるほど品が出る作品です。

Tシャツを着れなくなるという重症を患っている私は3色購入。お客さんでも3色買ってくれた人がいて作品としての良さはお墨付き。

サイズ感ですが・・・




比較としてブラックのみサイズ2を着用。他の2色はサイズ3を着用していて購入したのもサイズ3です。

シルエットはスッキリした縦長でこれが素材と噛み合っているかなと思います。と言うのも古着のようなボックスで短丈だと急にカジュアルになってしまうと思うんですよね。


あえて縦長でスッキリ見せることでこのドライタッチなウォッシャブルウールや首周りや袖口の編みが際立っています。

あ、袖口で思い出しましたがリブも作り方を変えていて首周りと袖口はキックバックの強い糸を使い裾のリブは通常の糸で形成。と言うのはマジでこの手のニットって着ていると着丈がグングン上がってくるんでそれを防ぐために。


で、最後なんですけどコレだけシンプルなデザインなのにこの文字量凄くないですか?北川さんの「こういったシンプルな作品ほど仕掛けが多い」コレがこの文字量になったと言う事ですね。

本当にニットに拘り糸から考えて服を作っている人の製作発表を見ているみたいですね。

暖かい日差しに包まれて着るのをイメージして作ってもらった作品です。是非着てみてください。

P.S
コレ以外にもKhéikiから新作が届いております。是非ご来店お問合せください。

問い合わせは下記から 
Mail acacia.shizuoka@gmail.com 
住所 静岡県静岡市人宿町2丁目5-22 2F 
時間 13時-19時 
週末 12時-19時