岩崎眼鏡枠製作所
ファッションの中でも大きく成長したヴィンテージフレーム。100年以上前の金張・彫金のものだと車買えるくらいの値段のモノもあるくらいで、ヴィンテージデニムに迫る勢いのジャンルになりました。
個人的にもヴィンテージフレームは好きで何本か所有しています。
ただ今必死にヴィンテージフレームを探すかと言ったらそうでもなくて、正直、眼鏡自体の熱が冷めていたように思える。
しかし今回お会いした岩崎眼鏡枠製作所の岩崎さんに再び私の眼鏡欲に火を灯してくれました。
彼が行なっているのはフルハンドにてメガネフレームを製造するという服さながらのやり方。しかし服だったら当たり前のフルハンドも使っている素材が人の手で加工しづらいモノなので機械に頼ることが一般的です。
しかしその工程を彼はアセテート、セルロイドを素材そのままから手書きしたフレームを糸鋸で切り出しそこから更にヤスリを掛け、1本1本仕上げていきフルハンドでフィニッシュまで持っていくという製造内容。
もちろんながら1日に何本も作れるわけがなく、1本作るのですら数日掛かるというコスパの悪さ。1ヶ月休みなしでアトリエに篭っても作業内容を詰め詰めにしても20本が限界とのことでした。
ただそのコスパの悪さをカバーするビスポークに近い形で作れるという魅力。
そこで今回は岩崎眼鏡枠製作所の魅力を最大限に引き出すためにオーダーイベントを開催することになりました。
糸鋸とヤスリ。
この2つの道具を使い板の状態から枠を切り出す。その後ヤスリを掛けることにより丸みを徐々に出していき、私たちがイメージしている「眼鏡」を作り上げます。
そのため彼の眼鏡は曲線で形成されている。
フラットな部分を探す方が難しいほど各パーツに丸みを持たせており、それと同時に機械では出来ないツヤを表現している。
私が思うに結局人が視覚的に見て美しいと思うのは直線ではなく曲線であり、それを証明するかのように昔勉強したのがルネサンス様式。特に物体を作る際は直線の方が明らかに楽になるために多用されがちですが、個人的には曲線を描くモノのほうが美しき思えます。
彼の眼鏡にはその美しい曲線や丸みが詰まっている。
アトリエの壁一面に並んだ機械はリムとテンプルを繋げる金具を付ける際に穴を開ける道具。
1つの大きさが50cmとかデカめなんだけど、1mm程度の穴を開けるだけとか金具を潰したりするだけの役割。めちゃくちゃ空間的にも時間的にもコスパが悪い。
しかし全てそれを1人で行い1本の眼鏡として仕上げています。
ヴィンテージフレームを買っていた頃は、まずは状態を確認しその後にブリッジの幅などのサイズを確認していました。
「眼鏡は医療器具」という人がいるほどサイズを間違えると生活に影響が出やすい代物。
しかし岩崎さんは自分でフレームを手書きした後にPCに取り込んでデータ処理するため、お客さんに合わせてサイズを微調整することが可能。
そのため見た目と同等に重要なサイズ感、フィット感というのは完璧に仕上がると思ってもらって大丈夫です。
私はこの2本をオーダー。既に手元にあり使用しています。
ここ数年、ヴィンテージフレームを見続けてきましたがTartのArnelやFDRからFrame FranceのCrown Panto派生のGARGOYLEなど。シンプルなモノから徐々に個性のあるモノに移り変わってきたように思えます。私の選んだモノも少し個性は強め。
まず最初にCrown Pantoの鼈甲をカラーレンズ入り(かなり薄めのブラウンが入っています)でオーダーしたのですが、その直後にセルのブラックが頭から離れずKeyhole Pantoを度入りのレンズでオーダー。
用途としてはCrown Pantoはサングラスで、Keyhole Pantoは眼鏡で、と差別化してオーダーしました。
形もそうですがレンズに色を入れるのか入れないのかという部分でも使用用途が変わってくるのと、オーダーはこの2日だけしかお受け出来ないので思い切って2本オーダーするのもアリだと思います。
そしてそのヤスリ掛けで言うとテンプル部分などはあえて丸みを出して着用しやすくしているというフルハンドならではの拘りで、顔への接地面が少ないが故に凄く軽く感じる。
届いた時にすぐ掛けたのですが驚いた。眼鏡が体に磁石でピタッとくっついたのかと思った。
工場で大量生産されているものが眼鏡業界では当たり前すぎてフルハンドで作るという違いが大きく違ってくることに掛けた瞬間に気がつきました。ホントに全然違う。例えるなら実際にポロサスを使っているのかクロコの型押しのレザーなのかというくらい違う。
イベントの概要は水曜にUPいたします。
問い合わせは下記から
Mail acacia.shizuoka@gmail.com
住所 静岡県静岡市葵区人宿町2丁目5-22 2F
時間 13時 - 19時